病院にチーコの飼い主が大慌てで駆けつけてきた。
チーコは薄目をあけてびっくりした。こんなに愛されていたんだと今さら思った。
「チーコごめんね。猫を増やすことばかり考えていた。友達がいっぱいいたほうが楽しいと思っていたのよ。そんなことなかったね。逆に寂しい思いをさせていたんだね。」
そんなことを考えていたのか。
数なんて関係ないんだ。
人間は目に見えることに心を奪われることがよくある。
でも猫のチーコにもわからなかった。

サランとママも涙目でこっちを見てる。
すぐに泣くんだな。みっともないやつらめ。
そんなことを思いながら心はあたたかかった。
チーコは本当の幸せを探しに旅に出たけど、本当の幸せは既に手に入れていたのに気が付いていなかったんだ。

病院できれいに洗ってもらって、真っ白いきれいなチーコの姿になった。
足の骨折は時間とともに治るらしい。良かった。
チーコは飼い主に抱かれて家に帰ることになったのだ。

それからどうしたか。
チーコは同じ家に住むたくさんの猫の中で、ベージュ色の雄猫と恋に落ちた。
そして子猫を産んで、兄弟げんかで忙しい毎日でしたが、幸せに暮らしたのでした。
にほんブログ村へ
にほんブログ村